こんにちは、hiroです。
僕はここ6年、病気になったり、会社をクビになったり、彼女にフラれたり、不遇の時間を過ごしてきました。
最初のうちは、「また這い上がってやる!」と再度がんばる決意をしていましたが、6年もたつと、「もうがんばらなくていいかな・・・」と自分に期待することもなくなってしまいました。
そんな挫折を現在進行形で味わっている僕にとってタイムリーな小説を読みました。
それがこちら。
宮部みゆきさんの小説「人質カノン」です。
この小説は、1993年から95年にかけて小説誌に掲載された七篇の物語の短編集。
普段自分たちが何気なく過ごしている日常に潜むミステリーを題材に、人間模様が描かれています。
アマゾンレビューでも絶賛されていますが、短編「八月の雪」が特に素晴らしかったです。
メッセージ性のある小説で、僕を勇気づけてくれて、また頑張ろうという気持ちにさせてくれました。
※ネタバレあり
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「人質カノン」の各物語の簡単なあらすじ
僕のあきらめた心に希望を与えてくれた「八月の雪」
「八月の雪」は、不公平な世の中に嫌気が差し、人生を半ばあきらめてしまった少年が、病死した祖父が残した遺書を読んだことで一歩を踏み出すお話。
その遺書は、祖父が若いときに書いたものらしかった。
遺書
これが最後の手紙になる。僕はいさぎよく死んでいく覚悟で居ります。御兄上様にも宜しく。後のことを頼みます。
勝一郎
なぜ祖父は、若くして遺書を書いたのか。
仮に若いときに書いた遺書だとしても、なぜ祖父はその後生きながらえ、天寿を全うしたのか。
少年は知りたいという衝動に駆られ、祖父の昔の知人にあたってみることにした。
ある日、柴田という老人に電話し、そこで祖父の昔話を聞く。
柴田と祖父は陸軍に所属し、二・二六事件に関わったという。
遺書は、祖父がその時に死を覚悟して書いたものらしい。
遺書を書くほどの辛いことや怖いこと、何を信じたらいいかわからないことを若干20歳で経験した祖父が、その後の六〇数年の余生をどのように過ごしてきたのか、どんな気持ちで過ごしてきたのか、少年はわからなかった。
祖父に聞こうにも、もう亡くなってしまっている。
それでも少年は、知りたいという欲求から動き始める。
二・二六事件のことをもっと詳しく調べ、その後の戦争や暮らしをより知ることで、挫折を味わった祖父の生き様がわかるかもしれない。
そしてそれが、今の自分自身にとって生きていく希望になると少年は確信していた。
どれほど辛い目に遭っても、世の中を不公平と思っても、そこから盛り返して生きていくことの意味を見出すことができるかもしれないと。
事故で右足を失って、世の中の不公平を嘆いていた少年が、祖父の遺書を希望に再び一歩を踏み出そうと決意した姿を読んで、僕自身も勇気づけられました。
諦めるのは、捨てるのは、まだ早い。
読後、僕は「もう一度踏ん張って生きてみよう」と決意できました。
自分を見つめ直すきっかけをくれたこの小説に出会えて本当に良かったです。
もしあなたが今、苦しんだり悩んだりしていたら、メッセージ性のあるこの小説を手に取ってみてください。
あなたに何かきっかけを与えてくれるかもしれませんよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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