こんにちは、hiroです。
今回は誉田哲也さんの小説、「武士道セブンティーン」を読んだ感想を書きます。
香織が早苗を想う気持ちが勇ましい。
「厳しく突き放し、優しく受け止める」
そんな香織の芯の強さに感動させられました。
最後は、思わずウルっときました。
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簡単なあらすじ
剣道を通して成長していく、「香織」と「早苗」。
性格、剣道スタイルが対照的な2人が、自分の目指す剣道に迷いながらも進もうとしていた。
早苗は、父親の転勤で、剣道の強豪「福岡南」に転向し、剣道部に所属する。
そこで目の当たりにした剣道に戸惑い、苦しんでいた。
一方、香織は、後輩の育成に精を出し、自分の目指す剣の道を追求していた。
剣道青春小説、ここにあり。
剣道における武士道とは
僕がこの小説で、一番心に残ったのは、「武士道」という言葉。
武士道とはなんなのか。
その意味を知ったとき、武士の懐の深さに感銘を受けました。
小説の中で、「武士の生業は、戦いを収めること」と書かれていた。
武士は戦うけれども、勝った回数より、その戦いをどう収めたかを重視するそうです。
簡単に言うと、戦いの量より質(?)を重視するということなのかな。
早苗が、福岡南の剣道に違和感を感じていたのは、「武士道」という観点からではなかろうか。
早苗は勝敗にこだわらず、時間をかけてでも剣道を追求したかった。
けれど、福岡南ではそれができない。
悩みに悩んだ挙句、古巣の東松に戻りたいと香織に打ち明ける…。
僕は、早苗が悩みに悩んで香織に打ち明けた「東浜に帰りたいの」というセリフには、早苗の苦しみが詰まっているのがひしひしと伝わりました。
僕は読みながらも、「帰っておいで」という気持ちになりました。
けれど香織は、早苗の帰りたいという言葉を聞き、「帰っておいで」とは言わず、「逃げんな」と言っているようでした。
心では、早苗に帰ってきてほしいと思っているはずです。
それでも早苗のことを思い、少し突き放すように「しっかりしてくれよ」と鼓舞した香織の姿には、感銘を受けました。
そして早苗は、自分の剣道とは異なる考えを持つ「レナ」に果たし状を突き付けました。
勝負の結果、早苗が勝ちますが、福岡南の先生である吉野先生に、「剣道とは何か、武士道とは何か」を諭されます。
そして早苗は、「レナの首は獲らなかったけど、でも勝ったよ」「ちゃんと勝ったからね」と香織に思いをはせます。
僕は、早苗が吉野先生の言葉の意味を理解し、そのうえで、香織が伝えたかったことを理解した瞬間だと感じました。
香織の優しさと強さ
最終的に早苗は、「今まで自分は逃げていたんだ」ということを悟り、福岡南に残ることを選択します。
そしてラストシーン。
「ごめんなさい、東浜には戻らない」という早苗の泣きながらの決意を、香織はそっと抱き寄せます。
僕は香織の温かい気持ちに心打たれました。
本当は、また早苗と一緒に剣道をやりたかったと思います。
けれど、早苗の悩みや苦しみを理解し、叱咤激励をした香織の姿は、とても勇ましかったです。
前作「武士道シックスティーン」では、今まで香織が追求してきた「強さ」は、「とにかく勝つ、相手をねじふせる」でした。
けれど、今回の「武士道セブンティーン」では、勝敗とは違う「武士道としての強さ」を香織が見出すことができたと思います。
それにしても、香織、強くなったなぁと感じました。
次回作は、早苗と香織はどんな化学反応を起こすか、楽しみです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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