本書は,自分の気持ちを文章にすることができない人が自分の言葉で表現できるようになるためのノウハウと心得が書かれている。
どうして思ったことを文章にできないのか,その理由を読んで,僕は「なるほど,そうだったのか!」と頭の中の霧が晴れたかのように納得した。
文章が苦手な方はもちろん,ブログなどにこれから挑戦したいと考えている方にとって,文章力を向上させるヒントがたくさんあるので,おすすめである。
ちなみに著者は,ベストセラーになった「嫌われる勇気」を書いた,古賀史健さんである。
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なぜ思ったことを文章にできないのか
自分の「思い」や「感じ」を文章にできないのはなぜか。
それは「思い」や「感じ」は言葉とは限らないからだそうだ。つまり,頭の中にあるのは,言葉だけではなく,映像,気配,色など言語化されていないものもある。
本書では,この漠然とした感じを「ぐるぐる」と表現している。
自分の思ったことを文章にできないのは,言語化されていない「ぐるぐる」が頭の中を駆け回っているからだそうだ。
では,どうしたら「ぐるぐる」を文章にすることができるのか。
本書では,「翻訳」することをすすめている。
自分の言葉に”翻訳”する技術を身につける
言葉ではないものを,最終的には文章にしなければならない。
文章化させるには,頭の中の「ぐるぐる」を自分の言葉に再構築する必要がある。
頭で考えていても意味はないので,紙とペンを取り出し,ひたすら頭の中の「ぐるぐる」を書き出してみることが大切。
単語でもいいと思うし,絵や図でもいい。
とにかく頭の中をすべてさらけ出してみる。
そして書き出したメモをみて,自分の言葉で表現してみる。
これが翻訳である。
最初は難しいかもしれないが,訓練を重ねるうちに自分の言葉で表現できるようになる。
何事も訓練が必要だが,頭の中の「ぐるぐる」を自分の言葉で翻訳できれば,文章はスラスラ書けるはず。
そのためにも,まずはメモに書くことが大切。
頭の中を可視化するには,やはり書き出すことが一番である。
文章力を向上させるテクニックが満載
本書には,文章を書く具体的な方法が,山ほど書かれている。
初心者にはとっつきにくい内容もあるが,ブログや執筆をしている人には参考になると思う。
例えば,下記のような方法が書かれている。
- 10年前の自分に向けて書く。
- 多数派より少数派に向けて書く。
- キライな文章を見つけて,そのキライを掘り下げてみる。
- めんどくさい細部を描くことの重要性。
- 文章に,ハサミを入れる。
- 文章は,リズムで決まる。
- 句読点の打ち方。
- 起承転結は悪なのか。
- 文章の導入は,インパクト優先型,寸止め型,Q&A型がある。
上記に挙げた例は一部なので,本格的に文章を学びたい方は必読の書といえるのではないだろうか。
良い文章とは
そもそも良い文章とは何なのか。
その定義づけ,すなわち最終到達点が明確でないと訓練しようにもはかどらない。
まるで暗闇のトンネルをひたすら走らされているかのように,終わりのない文章地獄にはまってしまいかねない。
したがって,自分なりの良い文章の定義をつけることが大切だと思う。
本書では良い文章とは,「読者の心を動かし,その行動までも動かすような文章」としている。
ただの日記ではなく,周りに影響を与えるために,文章を書くのである。
定義づけがなされれば,あとはゴールに向かって走り続けるのみ。
あなたも自分なりの「良い文章」を定義してみてはいかがだろうか。
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