「他人のなにげない言葉なんて,無責任なものだから,気にしないでいい」
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もくじ
本書の紹介
この本は,心穏やかに生きるための「匙(さじ)加減」を見つけるヒントを与えてくれる。
著者は,100歳の現役精神科医である髙橋幸枝さん(2017年3月読了時点)。本の帯に,とびっきりの笑顔をされた髙橋さんが載っている。
目尻の笑いジワが印象的で,連想されるのは「おばあちゃんの温かい笑顔」。また,驚いたのが歯並び。「整列している」という表現がぴったり当てはまるほど,キレイに整っている。
そんな笑顔が素敵な髙橋幸枝さんが,100歳という歳月を経て見い出した,穏やかに生きるための方法や心の持ち方を紹介してくださる。
対人関係の匙(さじ)加減
合計40個の匙加減が紹介されている本書。その中で,僕が印象に残ったのは「他人とどう付き合っていくか」という「対人関係の匙(さじ)加減」である。
僕自身,人と話すことが苦手で,いつもビクビクしてしまう。面接やプレゼンは大丈夫だが,雑談がまったくもってできない。なんとかコミュニケーション能力を高めたいといろいろ実践してみるものの,どれも効果なし。
地震,雷,火事,親父にも決して揺るがない僕の非社交的な性格を,髙橋幸枝さんは一筋の光を与えてくれた。
他人の言葉は「意味を持たない」
「他人の何気ない言葉なんて,無責任なものだから,気にしないでいい」
髙橋幸枝さんは左利きで,幼少期から他人に「左利きなんだね」ということを言われ続けてきたそうだ。いちいち反応されるのがイヤで,箸とペンを右手で持つ練習もするほど,劣等感を持っていたらしい。
大人になってもその劣等感が続いたそうだが,あるとき,他人の言葉に他意はないと気づく。つまり,他人の「左利きなんですね」という言葉はしょせん社交辞令にすぎず,なんの意味も持たないということ。
だから,コンプレックスで悩んでいる人に対して髙橋さんは,「他人のコンプレックスに対する何気ない言葉は,無責任なものだから気にしなくていいんだよ」と伝えている。
僕のコンプレックス
ずばり,デコが広いということだ。
中学生の時,友だちに「おまえのデコ,意外と広いね」と何気なく言われたのをきっかけに,自分のデコの広さを気にするようになった。
風の強い日はさらにヘコむ。風のいたずらで,前髪がベロンとめくれあがるともうサイアク。外を歩くときはどうしてもうつむき加減になってしまう。
でも大人になって,デコが広いというコンプレックスを知人に打ち明けたら,「そうでもなくね?」と一蹴された。
その時初めて,「僕のデコはそこまで広くないんだ!」と認識した。それと同時に,「あんにゃろ…」と中学時代の友達を心底恨んだ。
髙橋さんが言われた通り,他人の言葉なんて無責任で,特に意味を持たない場合が多い。だからいちいち気にしていたら,身が持たない。
そこまで他人は自分に興味がない
この本に出会えたおかげで,自分のコンプレックスとの向き合い方がわかった気がする。
自分がコンプレックスだと思っていることは,他人にとっては実にどうでも良いことなのだ。
何はともあれ,僕のことをデコが広いと無責任にも言い放った中学時代の友達。いつか再開することがあるとしたら,ぜひ,ハゲていてほしいと切に願う。
本書で紹介されている「匙(さじ)加減」
本書は,100歳の精神科医である髙橋幸枝さんの経験をもとに,おだやかに生きるための「匙(さじ)加減」を40個紹介されている。
先に挙げた「対人関係の匙加減」だけでなく,たくさんの経験談から,良い匙加減とは何かを導いてくださっている。経験談の一例を以下に記してみる。
- 98歳で初めてカップ麺を食べた経験から,〇〇することの大切さを説く。
- 家電の初期設定を自分で行うことで,いつまでも〇〇しくあり続ける。
- 植物を育てることで,孤独で寂しくなった心の〇〇を育てることができる。
- 健康に生きていけるかどうかは,○にかかっている。
- ケガや入院などの非日常が,新たな○○○を与えてくれる。
- うつ病の原因に気づき,立ち向かうには,やさしい〇〇〇〇がいるとよい。
- お付き合いの匙加減の秘訣は,「○○○○」。
- 「最近の若者は」という言葉が口から出てしまう人は○○○○。
- 「自分は口下手だ」と思っている人は,とにかく自分から相手に話しかけるという○○○な行為が大事。大抵の人は話の内容に興味がない。
- 心が美しい人とは,○○○○○を他人様に贈れる人。
- ○○や○○で愛情を示すことが大事。
- 患者さんがホテルから飛び降りた経験から,読者のみなさんにお願いしたいこと。
「100年の経験」を若者の僕が感じてみると…
僕はこの本を読んで,特に,人との付き合い方や,心の上手な保ち方を教わった。この本を読み終わった後に,早速,観葉植物を買いに行くなど,行動に移せる内容も多い。
反対に,全く共感しない内容もあった。自分がまだ若くて未熟なせいなのかわからないが,中には「そうかなぁ?」と思うこともあったように感じる。
感じ方は人それぞれ。受け取り方も人それぞれ。ぜひ,あなたも「100年生きた髙橋幸枝さんの金言」を自分の今の心で確かめてみてはいかがでしょうか。
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