こんにちは、hiroです。
今回は、浅倉卓弥さんの小説「四日間の奇蹟」の感想を書きます。
この本は、第1回「このミステリーがすごい!大賞」の大賞受賞作です。
描写力がピカイチで、内容も思わず涙してしまうほど感動的な物語です。
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「四日間の奇蹟」のあらすじ
不慮の事故で指をけがをしてしまった主人公「如月敬輔」と、如月家に住んでいる脳に障害を持った少女「千織(ちおり)」の、ちょっと不思議な物語。
敬輔は、障害のある千織のリハビリのため、各所でピアノを弾かせていた。
そんなとき、ある山奥の診療所に招待された2人は、ヘリコプター事故をきっかけに起こる不思議な出来事に遭遇する。
人が生きる意味を巧みに描いた最高のファンタジー。
感想(ネタバレあり)
僕は読了後、この本を「生涯ベスト3」にランクインさせました。
とにかく感動的で、思わず涙してしまうほどでした。
特にラストの怒濤の展開は、ちょっと切なく、悲しみがあるけれど、生きる希望を与えてくれるものでした。
岩村真理子の魅力も見逃せない
敬輔と千織のほかに、この物語には欠かせない1人の女性の葛藤も見物です。
その女性「真理子」は、診療所に勤める職員。
面倒見が良いが、ちょっぴりお節介な性格に親しみがもてます。
この真理子と千織がヘリコプター事故に巻き込まれ、2人とも意識を失ってしまう。
特に真理子は、千織をかばったこともあり、予断の許さない状態に。
千織はやがて意識が戻り、軽輔は安堵するのですが、そこにあった千織の意識は、千織のものではなく、なんと真理子のものだった。
つまり、「体は千織、頭脳は真理子」ということ。
なんとも不思議な出来事に困惑する敬輔だったが、やがてその意識が本当に真理子のものだと悟る。
ここからの真理子の葛藤と、それに付き合う敬輔のやりとりが深く考えさせられました。
ラストは感動的
ラストは診療所の近くにある教会で、敬輔が真理子のために、自分のために、ピアノを弾きます。
そして、真理子はそのピアノを聴いた後、この世から去ってしまう…。
正直、真理子には生きてほしかったというのが僕の気持ちです。
こんなに一生懸命生きている真理子が死んでしまうのは、とても悲しかったです。
真理子は千織の体から離れ、旅立つシーンはファンタジーでありながらも、とても感動するのもでした。
千織の純粋無垢な気持ち
こうして千織の意識が元に戻ったとき、さらに僕を感動させてくれました。
それは、意識が戻った472ページの千織のセリフです。
「自分のせいで、お姉ちゃんが死んじゃったぁ」と大きな声で泣きじゃくったのです。
僕はこのシーンでブワッと感動の鳥肌が立ち、思わずもらい泣きしてしまいました。
脳に障害があり、何を考えているかわからないように見える千織の素直な懺悔に心打たれました。
東野圭吾・作「秘密」との関連
小説「四日間の奇蹟」は、東野圭吾さんの小説「秘密」と同じシチュエーションであることが議論を呼びました。
「秘密」は、娘の体に母親の意識が宿るという物語。
「このミス大賞」の選考のときにも、真似ではないかと議論されたようです。
しかし、圧倒的な描写力で描かれる物語に、「文句なし」の太鼓判が押されたようです。
最高の作品
僕はこの本に出会えて本当に良かったと思います。
こんなに感動したのは、久しぶりでした。
出会えた奇蹟に感謝ですね。
※2019年8月追記
また、読みました。
何度読んでも、ラストシーンはブワッと涙がこぼれます。
今回は、自分の運命と向き合う真理子の懸命な姿に感動を覚えました。
自分がもし、真理子と同じ状況になったら…。
考えさせられる物語でした。
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