今回のお話は、応用生物化学の研究員の本槻優子がドラゴンとの数奇な出会いを描いた観察記録(第1章)です。
はたして、本槻優子はドラゴンとどのような日々を過ごすのか。お楽しみください。
なお、本編で表示される画像はすべて無料でダウンロードできます。
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本槻優子の物語「YUKO研究員、ドラゴンの卵を拾う①」
研究者YUKO

私は、研究者だ。
名前は本槻優子(ほんづきゆうこ)。YUKOと呼ばれることが多い。
研究の分野は応用生物化学。
応用生物化学とは、生物学と科学を基盤とし、その成果を食料や医療、環境に応用する学問、と言われている。
しかし私は、その壮大な応用には興味がない。
私が関心を持つのは実験そのものだ。
ひとつの生命の視認できないほど奥にある生命活動を俯瞰で観察できるのが、おもしろくてたまらない。
研究の日々

一応、研究員としての責務を果たしている。
最近は、清浄な水を採取し、汚水を飲料水へ変換する手段を探している。
水を火にかけ温度を変える。顕微鏡で水中の事実をのぞき込む。この行為はやはり、観察者として中々興味深い。
そんな折、清水の採取のため、海辺の洞窟へ向かうことになった。
元来、私は根っからの出不精で、正直、めんどくさすぎてたまらない。
しかし、仕事は仕事。
やるから何は全力でやるという気だるげな決意とともに、私は洞窟へ向かった。
数奇なる出会い

洞窟へ着き、探索を開始。
なるほど、情報通りの不純物のない水が流れている。
早速採取して、任務完了。
さっさと帰ろう。 と思った、その瞬間。
目線の先にが何かを捉えた。
膝丈の深さの水源の中に沈む、球体のようなものだった。
私は研究者の端くれ。
それなりの好奇心は兼ね備えている。
やはり、心が高鳴り始めた。
「あれ」は、何だ。
近づいてみると、それは青白い球体だった。
私は恐れず、その球体を水の中から引き揚げた。
まじまじと観察した結果、球体の中心に影が見える。
その形状は、「ドラゴンの赤ちゃん」のように見えた。
より正確に言えば、実体のない「影のシルエット」に見えた。
ドラゴン。
ファンタジー領域で創造された、架空の巨大生物。
そう考える傍ら、「もしかしてドラゴンが孵化しちゃったりして」なんて思ったりもした。
生物を扱う研究員としては、わずかな可能性も潰す必要がある。
研究者という肩書を武器に、私はその球体を大きめのバックパックにそっと押し込んだ。
何はともあれ、この世界にドラゴンはいない、はず。
だって、見たことないから。
しかし、目の前には「ドラゴンのような影が映った球体」が確かに存在するという事実。
調べてみる価値は、ありそうだ。
球体をむさぼる

早速、研究室に戻り、観察を開始。
やはり、球体の中心にあるシルエットには実体がないように見えた。
とりあえず、色々とむさぼっていいこう。
重量は2㎏、手に持つとややズシっとする感覚。
球体の半径は、10.795㎝。ボーリング玉と同程度。
揺すっても、中の液体のようなものは波打たない。気泡がチラホラ見える。
匂い、無し。
色は青白く、かすかに発光している。
観察終了

私の得意技は、顕微鏡の操作。
どれだけ小さな微生物でも照準を一発で合わせることができる。
とりあえず、球体の殻をはがすわけにはいかないので、球体に付着していたわずかな水分を顕微鏡で観察した。
結果、微生物どころか不純物が全くないという事実が判明した。
本来であれば、球体の外殻や中身を調べたいところだが、もし、万が一、これが「卵」であるならば、無用の刺激は避けるべきだ。
通常の業務もあったため、いったん観察を中断することにした。
二足の草鞋

本来の研究者の仕事に戻り、汚水を飲料水に変えるための実験に取り組んだ。
しかしその間、じつはもう一度、球体を見つけた洞窟へ足を運んでいた。
水を確保するためだ。
球体を元ある状態に近い環境で保存するため、冷蔵庫ではなく、採取時の水に浸して保存することが、最適であると判断した。
それからの日々は、日常の研究と球体の観察を並行して記録していくこととなる。
ーーーーーー
あるときふと、水に浸した球体の様子を見てみると。
水の底に小さく光る透明な物体がきらりと光るのが見えた。
これは、球体の破片か?
早速、そのガラスのような物体を、顕微鏡で調べてみる。
すると、球体を調べて以来、初めて私の喉がうなり始めた。
レンズに写っていたのは、微細な結晶。
塩、砂糖、今まで発見してきたどの結晶とも異なるのは確かだった。
毎日観察していた水の中から、なぜこの結晶が急に出現したのか。真相は不明だ。
だが、この新たな事実を軸にとことん調べていくことにした。
世紀の大発見?

拾った破片をさらに深く調べていく。
光学顕微鏡から、ナノの世界を求める電子顕微鏡へと切り替えた。
電子顕微鏡は、原子の並びを調べることができる。
もし、透明な破片の原子構造が未発見のものであれば、それは新しい素材の発見という事実となる。
つまり、「世紀の大発見」だ。
顕微鏡をのぞく日々が始まった。
同時に、発見した事実を記録としてつぶさにまとめあげていく・・・。
ーーーーーー
日を重ね、ついに透明な破片から調べられる情報はゼロになった。
同時に、判明した情報を記録としてまとめ上げていった。
未知の物質に出会い、それを舐めるように調べ尽くす。
まさに、至福の時間だった。
しかし、その至福の時間が一気に壊れるときがきた。
この先の私は、じつに滑稽だった。
理性は崩壊。情動が全てを支配下に置くことになる…。
>>研究者YUKOとドラゴンの卵|第2章へ続く(執筆中)
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