人物イラストを生成したとき、あと「手の指」だけきれいに描ければ、最高の画像になったのに…。
そんな残念な気持ちになったことはありませんか?
じつはAIは、画像生成の中で最も苦手とするのが「手の表現」と言われています。
そんな中でどのように「正しい5本の指」にするにはどうすればいいか、悩みますよね。
そこで今回は、手の指の数をきちんと5本にするためのコツをシェアします。
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もくじ
AI画像生成で手の指をキレイに5本にする方法

正しい手を生成したい場合は、AIにプロンプト(呪文)を使って「5本指である」とはっきり伝えることが重要です。
プロンプトには、ポジティブプロンプトとネガティブプロンプトの2種類あります。
それぞれに主に使われるプロンプトの例を見ていきましょう。
正しい手をお願いするポジティブプロンプト
指の本数をはっきり伝える
- 5 fingers (5本の指)
手の描き方を丁寧に頼む
- detailed hands (ていねいに描かれた手)
- realistic hands (本物みたいな手)
正しい手をダメ出しするネガティブプロンプト
余分な指を描かないで!
- extra fingers (余分な指)
- six fingers (6本の指)
変な手を描かないで!
- deformed hands (形がおかしくなった手)
- bad hands (ひどい手)
- bad anatomy (体のバランスが悪いよ)
ポジティブ・ネガティブを両方同時に使おう
一番効果的なのは、「お願い」と「ダメ出し」を両方とも一番強いプロンプトを使うこと。
AIに、手の5本の指を丁寧に書くようにお願いし、余計な指を書くことを禁止することが大事になります。
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実際に使えるポジティブプロンプトとネガティブプロンプト

ポジティブプロンプト
本数と正確さをお願いする呪文
- 5 fingers (ファイブ フィンガーズ)
「指を5本にして!」 一番大事な呪文。 - proper fingers (プロパー フィンガーズ)
「ちゃんとした指にして!」 正しい指の形にしてほしいとき。 - correct number of fingers (コレクト ナンバー オブ フィンガーズ)
「指の数を正しくして!」 念押しのお願い。
手の描き方をていねいにお願いする呪文
- detailed hands (ディテイルド ハンズ)
「細かいところまでていねいな手にして!」 - realistic hands (リアリスティック ハンズ)
「本物みたいにリアルな手にして!」 - beautiful hands (ビューティフル ハンズ)
「きれいな手にして!」 - natural hands (ナチュラル ハンズ)
「自然で変じゃない手にして!」
ネガティブプロンプト
余分な指や数の間違いを禁止する呪文
- extra fingers (エクストラ フィンガーズ)
「余分な指を描いちゃダメ!」 6本以上になるのを防ぐ。 - six fingers (シックス フィンガーズ)
「6本の指を描いちゃダメ!」 6本は描かれやすいので特に大事。 - more than 5 fingers (モア ザン ファイブ フィンガーズ)
「5本より多い指はダメ!」
形が崩れているのを禁止する呪文
- deformed hands (ディフォームド ハンズ)
「変形した手は描いちゃダメ!」 - malformed hands (マルフォームド ハンズ)
「形がおかしい手は描いちゃダメ!」 - bad hands (バッド ハンズ)
「ひどい手は描いちゃダメ!」 - mutated hands (ミューテイティド ハンズ)
「突然変異した手は描いちゃダメ!」 - ugly hands (アグリー ハンズ)
「ブサイクな手は描いちゃダメ!」
体全体の間違いを禁止する呪文
- bad anatomy (バッド アナトミー)
「体のつくりがおかしいのはダメ!」 指だけでなく、体全体の間違いを防ぐ、とても大事な呪文。
extra limbs (エクストラ リムズ)
「余分な手や足は描いちゃダメ!」 腕が3本になるなどの失敗を防ぐ。
2つの呪文の使い方ポイント
- ネガティブが一番大事
まずはネガティブプロンプトの呪文をたくさん並べて、「指の失敗は絶対にダメ!」と強くAIに伝えよう。 - ポジティブも忘れずに
「5 fingers」などのポジティブプロンプトも忘れずに入れて、正しい絵を描くようお願いしよう。
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ポジティブプロンプトとネガティブプロンプトを同時に指示していいの?

結論として、ポジティブプロンプトとネガティブプロンプトは一緒に使ったほうが効果的です。
逆に、ネガティブプロンプトだけだと、指を6本にしたり変な手を描いたりしてはいけないことは分かったけど、結局何をメインで描けばいいのか迷ってしまうかもしれません。だからこそ、2つのプロンプトを同時に示すことで、AIをこちらが意図する方向へ導くことができるようになります。
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手の指の形や本数はどんなポーズのときに失敗しやすい?

AIは「手が苦手」と言われていますが、厳密に言うと、「失敗しやすいポーズ」と「失敗しにくいポーズ」があります。
AIが特に失敗しやすい手のポーズ
AIにとって難しいのは、「手がごちゃごちゃしたポーズと」と「指が隠れているポーズ」が失敗しやすいと言われています。
- 指が重なっているポーズ
手を組む、指を絡ませる、祈るポーズ、恋人つなぎなど。 - 複雑なジェスチャー
サイン(ロックサイン)、指を複雑に折るポーズ、特定の記号を作るポーズなど。 - 顔や体に触れているポーズ
口元を覆う、顔に手を当てる、髪の毛を触るなど。 - 物しっかりつかんでいるポーズ
コップやペンを握る、ボールを持つなど。 - 手が画面の手前にあるポーズ(遠近法)
手を画面に向かって突き出すなど。
逆に失敗しにくいポーズ
AIは、指がハッキリ見えていて、形が単純なポーズは比較的得意な傾向があります。
- パー
手のひらを広げていて、すべての指が見えているポーズ - 軽いチョップ
指をそろえて伸ばしているポーズ - 少しだけ開いた手
指と指の間にスキマがあり、重なっていないポーズ - グー(握りこぶし)
指が完全に隠れているため、指の失敗が見えにくいポーズ
複雑なポーズをとる手にするための対策
もし、AIが苦手な「指を絡ませるポーズ」を描きたいときは、先ほど紹介した強力なネガティブプロンプト(extra fingers, deformed handsなど)を使って、「失敗するな!」と強くダメ出しすることが成功への近道になるでしょう。
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強力な手のポジティブプロンプトとネガティブプロンプトは何?

AIツールによってプロンプトの効果は変わりますが、ここでは「この単語は効きやすい」と言われている一般的な効果の目安をご紹介します。
手のポジティブプロンプトの効果(目安)
- 5 fingers(効果:強い)
「指の本数は5本!」と、最も直接的で明確にお願いしている。 - five toes(強い)
足の指も同様に、「本数は5本!」と直接お願いしている。 - detailed hands(中〜強い)
「手は細かく大事に描いて!」と、描写の質を上げようとお願いしている。 - realistic hands(中)
「リアルな手にして!」と、絵柄の方向を指定しつつ、質の向上をお願いしている。 - proper fingers(中)
「ちゃんとした指にして!」と、正しい形を意識するようお願いしている。 - beautiful hands(弱〜中)
「美しい手にして!」とお願いしているが、本数や形を直す力は弱めにしてとお願いしている。 - natural hands(弱〜中)
「自然な手にして!」とお願いしているが、具体的な形はAI任せになりやすい。 - correct number of fingers(中)
「正しい数にして!」とお願いしているが、「5 fingers」より少し伝わりにくくなることがある。
手のネガティブプロンプトの効果(目安)
- extra fingers(最も強い)
「余分な指は絶対に描くな!」と、指の異常で一番多い原因を強く禁止している。 - six fingers(強い)
「6本の指はダメ!」と具体的な失敗の形を禁止している。 - deformed hands(強い)
「変形した手は描くな!」と、指の形が崩れる失敗を広く禁止している。 - malformed hands(強い)
「形がおかしい手はダメ!」と、これも形崩れに強く効く。 - bad hands(中〜強い)
「ひどい手は描くな!」と、広い意味での手の失敗を禁止する、汎用性の高い言葉。 - bad anatomy(強い)
「体の構造がおかしいのはダメ!」と、体全体の間違い(指や手足も含む)をまとめて禁止する、非常に強力な呪文。 - mutated hands(中)
「突然変異した手はダメ!」と、グロテスクな異常を禁止するが、「deformed」ほど広範囲には効かないことがある。 - ugly hands(弱〜中)
「ブサイクな手はダメ!」と禁止しているが、形や本数に特化した言葉ではないから効きは少し弱め。 - extra limbs(中)
「余分な手足はダメ!」と、腕が3本になるなどの大きな失敗を防ぐ呪文。
ワンポイントアドバイス
- ポジティブプロンプトで、5 fingers, detailed handsのような「強い」言葉を必ず入れる。
- ネガティブプロンプトで、extra fingers, deformed hands, bad anatomyのような「最も強い」ことを必ず入れる。
- これらを組み合わせて使う。
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少しでも成功率を高めるために、全部の単語をプロンプトに取り入れてもいい?

結論
先ほど紹介したポジティブ&ネガティブプロンプトを、少しでも成功率を高めるために、全部取り入れても大丈夫です。
特にネガティブプロンプトは、指の崩れというAIの典型的な弱点を徹底的にカバーするために、関連する単語を大量に入れるのは非常に効果的なテクニックとされています。
注意点
全部の呪文を入れる際には、気をつけるべき点があります。
それは、プロンプト同士の「矛盾」。
例えば、「指の形はまっすぐにして!」とポジティブプロンプトで示しても、ネガティブプロンプトで「指の形は滑らかになるように!」と示してしまえば、矛盾が生じ、AIがどちらを取り入れるかを迷ってしまいます。
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プロンプトをもっと強調するために「:1.0」や(カッコ)を使おう

正しい手を描くためのプロンプトに、数値指定や(カッコ)を使うことは、非常に効果的です。
例えば、ネガティブプロンプトの「extra fingers」をより強力にしてみましょう。
数値を使った強調(一番おすすめ)
数値で強調するメリットは、一番細かく強さを調整できることです。
- extra fingers:1.5
1.5倍の強さ「余分な指を描くことを、いつもの1.5倍の力で避けて!」 - extra fingers:2.0
2倍の強さ「余分な指を描くことを、最大の力で避けろ!」
「1.0」は「普通の強さ」と同じ意味です。
強めたいのであれば、「1.1」や「1.2」、「1.5」のように1.0より大きな数字を使いましょう。
ネガティブプロンプトでは、2.0まで強くしても大丈夫です。
カッコを使った強調
(カッコ)はシンプルな強調で、カッコを重ねるごとに強さが増します。
- (extra fingers)
約1.1倍の強さ。「余分な指を避けることを、少しだけ強く意識して!」 - ((extra fingers))
約1.2倍の強さ。「余分な指を避けることを、もっと強く意識して!」
(カッコ)は、4つまでにするのがおすすめ。
それ以上重ねると、かえって画像が変質したり、他のプロンプトの邪魔になることがあります。
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「正しい手」にするための組み合わせ例

ポジティブプロンプトの組み合わせ
組み合わせ例:
5 fingers, five fingers, (detailed hands:1.2), realistic hands, proper fingers
上記は、「指の数(5 fingers)」と「手の質の高さ(detailed hands)」を両方強くお願いすることで、AIに「この手は特に頑張って描くべきだ!」と伝えることができます。
ネガティブプロンプトの組み合わせ
組み合わせ例:
(extra fingers:1.5), (deformed hands:1.5), bad hands, six fingers, mutated hands, bad anatomy,
指の異常は色々なパターンで起こるので、「本数の間違い」「形の崩れ」「体全体の失敗」の全てを、数値を使って強く禁止しています。
ポジティブ&ネガティブプロンプトの組み合わせ
上述のポジティブ&ネガティブプロンプトを組み合わせましょう。
- 組み合わせ例:
ポジティブ:
5 fingers, five fingers, (detailed hands:1.2), realistic hands, proper fingers
ネガティブ:
(extra fingers:1.5), (deformed hands:1.5), bad hands, six fingers, mutated hands, bad anatomy,
ネガティブプロンプトで「変な指」になることを防ぎつつ、ポジティブプロンプトで「きれいな5本指」を目指すというプロンプトの組み合わせです。
2つのプロンプトを組み合わせて、少しでも成功率を高めていきましょう!
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手の指の数&形のAIイラスト実践例
実際に、ポジティブ&ネガティブプロンプトを加える前後のAIイラストを見てみましょう。
上の画像が加える前、下が加えた後です。
サッと見ただけでは、手のどこが悪いのかわからないかもしれません。
しかし私は、上の画像を生成したときに、「なんか、親指の指の形や位置がおかしくない?」と感じました。
そこで、指の形を修正するために、ポジティブ&ネガティブプロンプトを加えます。
詳しいプロンプトは割愛しますが、基本的にこれまで説明してきたプロンプトをほぼすべて加えました。
その結果、親指が見えなくなり、手がスッキリしました。
親指がなくなったのではなく、「親指が構図上、見えなくなった」ということです。
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つぎのAIイラストを見てみましょう。
上が修正前、下が修正後です。
こちらの画像は、修正前後で違いが全然ありませんでした。
しかし、これにも理由があります。
画像生成AIでプロンプトを修正しても、見た目にほとんど変化が見られないことは、珍しいことではありません。
ポジティブプロンプトやネガティブプロンプトを加えても変化がなかったのは、「修正の必要がないほど、最初の生成で指の数や大きさが正しく描かれていた」という、良い結果だった可能性が高いです。
他のAIツールを使った場合は、修正の効果が出るかもしれません。
AIツールによっては、手の描写の得手不得手があるみたいです。
手の修正プロンプトを用いれば、100%の確率で正しい手が生成できるわけではありません。
ですが、少なくとも生成ガチャの回数を減らせる可能性が高いので、ぜひポジティブ&ネガティブプロンプトを加えましょう。
手の表現だけでなく、逆光や複数人のキャラクターを生成する方法など、あなたの思い通りのAIイラストの作り方を知りたいあなたは下記の記事をご覧ください。
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