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【ネタバレ感想】虚空の旅人(上橋菜穂子 作)で感じた「感情と行動のすり合わせ」の難しさ

こんにちは、hiroです。
今回は精霊の守り人シリーズの第4弾「虚空の旅人」を読んだネタバレ感想です。
>>小説「虚空の旅人」(電子書籍もあり)を読む

「虚空の旅人」あらすじ

新ヨゴ皇国皇太子であるチャグムは、隣国サンガル王国の「新王即位儀礼」に招かれた。

滞りなく進んでいく宴だったが、間もなくして「ナユーグル・ライタ」と呼ばれる少女が王宮に到着したとの知らせが入る。
異様な雰囲気をまとう少女が来訪したのを皮切りに、サンガル王国に崩壊の危機がジワジワと迫っていく。

チャグムは、他国の国政にどのように関与していくのか。
皇太子としての器量が試される。

少女は何者なのか…。

為政者としてのチャグムの危うさ

皇太子であるチャグムは、次期「帝」候補。
近い将来、政治を行う為政者となります。
しかし、自分の感情の赴くままに行動するなど、まだまだ未熟な面があると感じました。

チャグムは、心が清らかで義理堅く、特に生死に関わることに対しては敏感に反応していました。
ですが、その感情が人を縛り付け、傷つけてしまうこともあるのも事実でした。

実際、サンガル王国の皇子が暗殺されるという情報を得て、皇子を守る計画を立てていた際、護衛兵士の配置や武器を忍ばせることなど、盤上で物事を考えていました。
しかし、実際に事が起きた際には、兵士をはじめ、多くの人が命を失うこととなります。
そこで初めてチャグムは、兵士は駒に過ぎなかったことに気づきました。

誰も傷ついてほしくないという想いと真逆の出来事が起こってしまったとき、チャグムはぼんやりとします。
自分の行いが多くの人に影響を与えていることを暗に実感していたのではないかと思います。

まだまだ民を導く器量の乏しさを感じさせる出来事でしたが、この先、チャグムが国や民に対してどのような舵取りをしていくのか見ものだなとも感じました。

とはいうものの、チャグムの心の清らかさと熱意を目の当たりにしていくと、私の心もスッと軽くなります。
チャグムの魅力が私の心にスーッと染み渡る瞬間を何度も味わいました。

チャグムは本当に魅力的な人物ですね。この先の成長が本当に楽しみです。

2つの伏線の行く末は?

ひとつは、呪術師ラスグの存在。
サンガル王国崩壊のために暗躍していたラスグは、チャグムとシュガと戦う中で、計画の続行をムリと判断し、スッと身を引きます。
このラスグが今後呪術師としてチャグムと相対することがあるのか。期待が膨らみます。

もうひとつは、本作のキーパーソンの一人であるスリファという女の子の父親の安否。
作中では「きっと生きているはず」という表現でしたが、実際はどうなのでしょうか。
今後の守り人シリーズに絡んできたらいいなと思います。

過去作の人物が登場するのは、個人的にはすごく興奮します。
今回は名前だけの登場でしたが、精霊の守り人シリーズの主役のバルサや薬師のタンダの名前が出たときは、過去作の思い出に浸らせてくれました。
過去作の登場人物や伏線もシリーズものの醍醐味ですね。

精霊の守り人は、小説だけでなく、アニメ化、ドラマ化もされている作品です。
私はアニメから小説に入りましたが、間違いなく私のおすすめアニメナンバー1です。

精霊の守り人を見ないと人生損しているかもしれません。
これを機に、アジアンファンタジーの世界を堪能してみてはいかがですか?

最後までお読みいただきありがとうございました。

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