こんにちは、hiroです。
今回は、佐藤青南さんの小説、「ヴィジュアル・クリフ」を読んだ感想です。
ヴィジュアル・クリフ 行動心理捜査官・楯岡絵麻 (宝島社文庫)
物語に出てくるSF商法というもの。
僕の身近にもあり、ちょっと寒気がしました。
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ヴィジュアル・クリフのあらすじ
取り調べの自供率100%を誇る楯岡絵麻(たておか・えま)は、健康商品を売る「ご長寿研究所」の店長が殺された事件を捜査する。
容疑にかけられたのは、なんと楯岡絵麻の行動心理学の恩師、占部(うらべ)だった。
かつての恩師と対面し、行動心理学を駆使して真相を聞こうとする絵麻。
はたして恩師が本当に罪を犯したのか。
恩師VS教え子の決着はどうなるのか!?
この物語の一部はノンフィクション!?
絵麻と恩師の高度な心理戦も見ものですが、僕はそれ以上に気になることがありました。
それは、今回の事件の舞台となった場所です。
スーパーなど、人が集まる場所を間借りして建てられた、プレハブ小屋。
ここは、高齢者や健康に興味のある人を無料で招待し、健康に対する様々な知識を紹介しながらも、自社の商品を紹介するというお店でした。
「無料」を全面的に打ち出し、じわじわと自社の商品を紹介する「SF商法」。
Sは「新製品」、Fは「普及」。
つまり、新製品普及商法という商売の仕方。
物語の中では、集団心理の高揚を利用して高額な商品を売りつける、いわゆる催眠商法と説明されています。
この時点で、僕の中で違和感がありました。
「あれ?このお店とこの商法…自分が住んでいる地域にもある!?」
プレハブ小屋には、「無料です!」とか「こんな実績がありますよ!」という張り紙がベタベタ貼られています。
僕はいつも出勤するときに、「何だこの胡散臭い店は…」と思っていました。
小説の中で出てくるお店と、僕のイメージ内のお店が見事に合致していることに、ちょっと寒気がしました。
もちろん、小説なのでフィクションです。
ですが、過去の「行動心理捜査官 楯岡絵麻」シリーズには、ノンフィクションをフィクション化したような物語もありました。
例えば、有名な音楽家のゴーストライター疑惑。
一時期、メディアで大きく取り扱われましたね。
それを連想させるような事件が描かれていたこともありました。
そうしたら今回の事件も、ノンフィクションを参考にした部分も混じっているんじゃ…。
仮にそうだとしたら、僕が住んでいる地域で同じようなことをしているプレハブ小屋も…。
正直、物語よりもそっちの方が気になってしまいました。
真偽はともかく、SF商法という人間の心理を突いた商売が存在するというのは、十分考えられることです。
やはり、心理学は少し学んだほうがいいなと感じました。
エンマ様VS恩師
物語は、絵麻と恩師の心理学的なやり取りが白熱します。
心理的に追求すればするほど、核心部分が複雑になっていったので、正直、僕にとっては難しく感じました。
それでも、絵麻の恩師を慕う心情は痛いほど伝わってきました。
かつての恩師が容疑にかけられ、教え子が取り調べる。
この人が犯人ではありませんようにと痛切に願う絵麻を見ると、心が痛みます。
実際に恩師が犯人だったかどうか。
それは小説をぜひ読んでみてください。
物語は思った以上に複雑で、行動心理学を駆使しないと解決できないような感じがしました。
もし絵麻がいなかったら、誤認逮捕や未解決事件になっていたかもしれません。
何はともあれ。
物語に出てきた事件現場が、僕の身近にあるお店を連想させられたのは、ビビりました。
ぜひ、読んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ヴィジュアル・クリフ 行動心理捜査官・楯岡絵麻 (宝島社文庫)
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