こんにちは,hiroです。
今回は,佐藤青南さんの小説「サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻」を読んだ感想を書きます。
サイレント・ヴォイス 〜行動心理捜査官・楯岡絵麻 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
この小説は刑事物語ですが,舞台は取り調べ室という設定。
行動心理学を用いて,犯人を揺さぶっていくのが爽快でした。
スポンサーリンク
あらすじ
警視庁捜査一課で取調官の,楯岡絵麻。
絵麻は行動心理学を用いて,相手のしぐさなどからウソを見破ることができる。
歯科医や女優,占い師など多様な人間が次々と取調室にやってくる。
絵麻は,そんなクセのある者たちも恐れをなすほどの「やり手」だった。
感想(ネタバレあり)
主戦場は取調室
刑事ものの小説といえば,誉田哲也さんの小説をよく読みます。
「姫川玲子シリーズ」や「ジウシリーズ」など,足を使った地道な操作や,壮大なアクションに僕は慣れていました。
しかし,本小説は,取り調べが主戦場。
そこでどのような事件が起こったのか。
犯人は誰なのか。
これらを絵麻が行動心理学を用いて明らかにしていきます。
読んでいくとはまっていく
最初は,取調室だけの物語ってどうなの?と思っていました。
しかし読み進めていくと,絵麻の心理テクニックに惹かれていきます。
メンタリストのDaigoのようなイメージがあり,この人に嘘はつけないなと思いました。
最後の章の事件(綺麗な薔薇は棘だらけ)
特に最後の章の犯人は,絵麻にとって難敵でした。
絵麻のことを行動心理捜査官として知っている犯人。
そこで事前に睡眠薬を飲んで,仕草や行動パターンなどを読まれないようにする。
最初は絵麻もなかなか仕草を見つけられませんでした。
しかし,それでもやり手の取り調べ官。
犯人が服薬しているのに気づきます。
さらに,表情や手の動きだけでなく,足の動きまで注目していくのです。
絵麻にとっては,全身が標的。
ウソをつくと,体のどこかが反応する。
いやはや,この人の前では,微動だにしないといけないですね。
それでも,目の動きとか,鼻の穴の膨れ具合でバレてしまいますけども。
次回作が気になる作品
サイレント・ヴォイス 〜行動心理捜査官・楯岡絵麻 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
今作は,短編をいくつも集めた小説です。
ですが,物語には一つの核があります。
それは,楯岡絵麻の恩師が殺された事件。
時効が迫るなかで絵麻は,事件担当の刑事と頻繁にやり取りをしていました。
今作では,犯人や事件の全容は明らかにされていません。
次回作に,大きな進展がありそうです。
また次読んだら,感想を書きたいと思います。
「サイレント・ヴォイス」2周目読破
約2年前に読み終えた、本作品。
2020年になり、再度読みました。
そこで改めて思ったこと。
「行動心理学っておもしろい!」
作中には、多くの学術的知識が出てきます。
それをエンマ様が実際に活用し、事件を解決する…。
まさに、理論と実践が織り交ぜられた実用書。
小難しい専門書より格段に覚えやすいですね。
スッと自分の脳みそに落とし込まれます。
例えば、パーソナルスペースという用語。
パーソナルスペースとは、個人の心理的な縄張りのこと。
男女間でパーソナルスペースの広さが違うそうです。
男のほうが女よりも心理的な縄張りは広いらしい。
男のパーソナルスペースに女が入り込んだとき、男はどう思うか。
「おっ!この女…オレのテリトリーに入ってきたぞ!」
「てことは、オレに興味があるんだ!」
と意識してしまいます。
けれど、女にとっては、まだ自分のパーソナルスペースの範囲外。
つまり、たとえ男のスペースに入っていたとしても、その男に興味があるとは限らないということ。
「男は勘違いしやすい生き物」といえる…。
なるほどなぁと思いました。
このように、心理学を身近に知ることができるので、勉強になります。
「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズはまだまだあります。
今後、どんな行動心理学を駆使して事件を解決していくか、見ものですね。
サイレント・ヴォイス 〜行動心理捜査官・楯岡絵麻 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
スポンサーリンク