こんにちは、hiroです。
今回は、小説「舟を編む(三浦しをん・作)」を読んだ感想を書きます。
物語を読む中で、心に刺さる言葉がたくさんありました。
万人におすすめしたい傑作だと思います。
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「舟を編む」のあらすじ
玄武書房の営業部に所属する馬締光也(まじめみつや)は、言葉への鋭い感性を買われ、辞書編集部へ異動することになった。
馬締をはじめとする辞書編集部員たちは、新しい辞書「大渡海(だいとかい)」を完成させるべく、長い年月をかけて言葉と向き合っていく。
「辞書を作る」という長い航海の中で、様々な出会いと別れがあり、馬締は起こりうるすべての出来事に全力で情熱を捧げた。
はたして、どんな辞書ができあがるのか。
そして、馬締の恋の行方は…。
良質な言葉との出会い
辞書作りの物語というだけあって、様々な言葉が出てきます。
僕はその中で、感銘を受けたことばがありました。
辞書は真実の意味での「完成」を迎えることがない書物だ。
三浦しをん・作「舟を編む」
辞書は一度出版しても、改訂版が出ます。
次々と生まれる新しい言葉や、使われなくなった言葉が目まぐるしく入れ替わるからですね。
僕はこの文章を読んだとき、自分の人生に当てはめました。
- 「自分の人生には、「完成」があるのだろうか」
自分の人生は、「寿命が尽きる」というように、必ず終わりを迎えます。
ですが、その終わりが「完成」といえるかといえば、そうではないと思います。
人生の「完成」とは、その過程を全力で生きたという「証」を手に入れることではなかろうか。
生きた「証」が、自分の人生の「完成」。
現時点の僕は、そう感じています。
年をとるにつれ、考えが変わっていくかもしれませんけどね。辞書が改訂されるみたいに。
誰かの情熱に、情熱で応えること。
三浦しをん・作「舟を編む」
この言葉は、心にジーンと染みわたりました。
胸が熱くなるのがわかるほどです。
馬締と同じ辞書編集部員の西岡が、執筆の修正に怒りを示した大学教授に土下座を迫られます。
しかし西岡は、膝をつく寸前に、辞書編集部のみんなが魂を込めて辞書を作っている姿を思い返し、「大渡海はそんな安い辞書じゃない」と土下座をすることを止め、教授に言い寄ります。
どれだけ長い年月を経ようとも正面から言葉と向き合う馬締たちの情熱を、西岡自身が強く感じていました。
「情熱に情熱で応える」
素敵な言葉に出会えたことに感謝したいです。
馬締光也の恋
今まで恋をしてこなかった馬締が、板前である林香具矢を好きになる。
そして、恋文を渡す…けれど。
その恋文が難解すぎる(笑)
巻末に、馬締の恋文が全文公開されていますが、読んでもさっぱり意味が理解できません。
その恋文を香具矢は、一生懸命に解読してたんだなぁと思うと、ちょっと微笑ましい。
最終的に恋は実り、お互いに尊敬し合いながら年を重ねていく姿は、美しくすら感じました。
小説とアニメを比べてみると…
「舟を編む」はアニメ化されています。
僕はアニメのほうが先でしたが、小説を読んで、アニメ「舟を編む」の完成度の高さに驚きました。
多少、表現は違うところがあるものの、物語の本筋は忠実に再現されており、小説を読んでいるときも常にアニメの情景が浮かんできました。
小説もアニメも、何度も見返したい作品です。
小説では、アニメでは描かれなかった西岡の心情がたっぷり描かれています。
西岡の心の葛藤に共感し、より身近な存在に感じました。
馬締は、小説のほうが男らしい部分がありました。
アニメでは、自分のことを「僕」と言っていますが、小説では「俺」と言っています。
さらに、香具矢に告白したときの馬締の行動にも男らしさを感じました。
アニメでは見せない「男」を小説では堪能できたのも良かったです。
万人におすすめできる小説「舟を編む」
「なにかおもしろい小説ない?」
そう聞かれたら、迷わず「舟を編む」を薦めます。
ハラハラドキドキではなく、物語がしなやかに、かつ力強く進んでいく様相をぜひ味わってもらいたいなと思います。
もしあなたがまだ読んだことがなければ、強くお薦めしたいです。
「人生で一度は、読みたい小説」
あなたも辞書作りの世界を堪能してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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