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【ネタバレ感想】東野圭吾「手紙」の読後10分間、放心状態になった

こんにちは、hiroです。

東野圭吾さんの小説、「手紙」を読みました。

 

手紙 (文春文庫)

 

「やるせない、許せない、どうしたらいい」

犯罪者の家族の苦悩は、痛いほど強烈でした。

読後、10分間放心状態になるほどでした。

 

東野圭吾「手紙」あらすじ

「強盗殺人犯の弟」

そのレッテルを貼られた弟のナオキ

兄の犯罪がきっかけで、幸せどころか、普通の生活すら難しい状況に陥ってしまった。

 

それでもナオキは、幸せになろうと必死にもがく。

そして、「加害者の家族」という自分の姿と向き合っていく物語。

ラストシーン、弟が見た兄の姿

ラストシーンで、弟のナオキが、兄が服役している刑務所を訪れたシーン。

兄がとった行動に、胸を打たれました。

 

けして、良い意味で感動したわけではありません。

けれど、弟の苦悩を知り、自分が犯した罪の本質を理解した兄がとった行動を見て、やるせない気持ちにさせられた。

その兄の姿を見たナオキも、新しい生活をこれから送るんだという決意がグラっと揺らいでしまうほど。

 

そして、ラスト一行の文章で、今まで語られてきた小説の内容を、今一度真剣に読み返さなければならないと感じた。

兄の姿から見出される、新たな問い。

その問いを目の当たりにしたナオキの動揺は、読者である僕の気持ちもザワつかせた。

 

どんなラストだったかは、ぜひ自分の目で確かめていただきたい。

最後の問いが、自分に降りかかることもありうる。

そのとき僕は、この問いの答えを見いだせる日が来るのだろうか…。

罰を受けるのは加害者だけではない

服役中の兄からの手紙に、「かわりばえのしない毎日だ」という一文を見たナオキ。

明日すらどうなるかわからない状況のナオキにとって、呑気な文章だ。

「自分の気持ちも知らないで…」と愚痴りたくなるのもよくわかる。

 

僕自身も、兄の手紙に憤りを覚えた。

「どうして、罪を犯して、こんな呑気な手紙が書けるんだろう…」

それも毎月毎月、弟の気持ちを知らないで、手紙を送ってくる。

理解できないと思った。

 

実際、兄は弟の苦難の人生を知らない。

手紙には、「苦労をかけてしまって申し訳ない」というような文言がある。

それは本心だろうけれど、事の重大さを理解していないと思えた。

 

 

実際、弟のナオキの人生は、目も当てられないほど不幸だった。

それでもナオキは、この不幸な状況をもがき苦しみながらも、なんとか光を見つけようと奮闘する。

その姿に、心打たれた。

 

罪を犯した罰で、服役する兄。

けれど、罪を犯していないのに、社会の中でもみくちゃにされながら罰を受けるナオキ。

加害者の家族が、被害者になる様子を垣間見た。

加害者が持つべき自覚

小説にも書かれていたが、加害者は自分が刑務所に入れば済む問題ではないということに気づくべき。

「罰を受けるのは自分だけではない」という認識を持たなければならない。

 

加害者の家族であるナオキが受けた、耐え難い苦悩。

兄はもっと早く、それに気づくべきだと思った。

リアルな世界でも実際に起こっている事実

この物語は小説の話。

だが、実際に現実世界でも起こっている。

以前僕が書いた記事でも紹介したが、「加害者家族」という本がある。

 

加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)

 

加害者の家族というだけで、周囲からのけ者され、時には嫌がらせ行為を受ける。

生々しい体験談が、苦しみとともに書かれている。

 

【小説】月光(誉田哲也・著)を読んで,「報道のあり方」を考えさせられた。(ネタバレあり)

 

小説「手紙」は、現実の世界で起こっている苦悩を見事に描いていると思った。

そして、考えさせられるほどの問いを最後に読者に突き付けた。

 

読後、僕は10分ほどその場から動けなかった。

大げさではなく、本当に動けなかった。

放心状態になりながらも、突き付けられた問いについて考えた。

しかし、答えはすぐには出ない。

これから過ごす生活の中で、その問いに返答していきたいと思う次第。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

手紙 (文春文庫)

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