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【ネタバレ】伊岡瞬の小説「代償」の結末を知りたくて一気読みしてしまった

こんにちは。

潤沢LIFEのhiroです。

今回は、小説「代償」(伊岡瞬・昨)を読んだ感想を書きます。

 代償 (角川文庫)

 

「代償」はサスペンスミステリーで、2016年啓文堂書店文庫大賞などで1位を受賞しました。

僕が小説を面白いと思う基準のひとつに、「一気読みできるかどうか」があります。

この小説は、まさに次の展開が気になり、一気読みしてしまうような小説でした。

 

小説「代償」あらすじ

普通の家庭で育った主人公の圭輔

しかいあるとき、火事で両親を亡くし、住むところを失った。

圭輔は、遠縁である同級生の達也と暮らすことになったのだが、悪魔のような達也やその家族の行動に驚愕し、その生活は圭輔にとって地獄のようなものだった。

 

大人になった圭輔は、弁護士となり、日々仕事に励んでいた。

そんなとき、圭輔のもとに、ある依頼が舞い込んだ。

その依頼主は、達也。

濡れ衣を着せられて逮捕されてしまったから弁護してほしい,とのことだった。

子どもの頃にさんざん達也の悪魔の所行をみてきた圭輔は、大人になっても達也に翻弄され、追い詰められる。

圭輔はこの悪魔にどう闘っていくのか。

 

耐えしのぶ主人公を応援してしまう

この小説の主人公・圭輔は、普通の生活をしていたのに、ある日、達也によって狂わされてしまう。

それが大人になっても続くということが,どれほど苦痛なことか。

読み進めるたびに、「圭輔がんばれ!」と応援してしまうほど。

と同時に、達也の憎たらしさに腹が立ち、読んでいるだけで、達也のずるがしこい考えや、人を侮辱する姿に不快にさせられた。

なんとか達也に罰を与えることができないかと、読んでいる僕自身も考え、いつしか主人公を全力で応援するような感じになった。

 

耐えられたのは仲間のおかげ

圭輔一人では、耐えられなかったはずだ。

圭輔の周りには、少ないながらも信頼できる仲間がいた。

中学時代に支えてくれた仲間、その仲間が大人になった今も圭輔を支えてくれる。

仲間の存在があったからこそ、圭輔はあきらめようとする自分の心にムチを打ち、いかなる困難も乗り越えることができたのだと思う。

 

先が気になる傑作ミステリー

達也が関わったとされる事件の真相も,謎がいっぱいである。

自分はやってないという達也と,黒だと睨んでいる検事。

新たな証言者が現れ事態が急変するなど、事件は白と黒を反転させながら、最終的に真相に迫っていく。

主人公の圭輔が、弁護士としての枠を超えて証拠を集め、事件の真相を紐解いていくミステリーがまた秀逸。

 

善か悪か

世の中には、善人と悪人の2種類しかいないとよく言われる。

しかし本当にそうなのだろうか。確かにこの小説を読む限りは、達也は根っからの悪人と見て取れる。

しかしその達也も幼少期に父親に殴られたり、再婚の母親が悪事を働いたりなど、家庭環境がめちゃくちゃだった。

もしかりに、達也が圭輔と同じように、普通の生活ができていたのなら、できあがる人格は別のものになっていたのだろうか。

結果論でしかないが、オギャーと生まれたときから悪人というわけではなく、その後の環境で後天的に悪人に仕上がっていってしまうのではなかろうか。

ただ、社会の中にはまぎれもなく善と悪があるのは確かだ。

 

自分が1番不幸ではない

僕は、人に裏切られ、どん底に落ちたことがある。

しかし圭輔をみていると、僕がどん底と感じたことなんて、たいしたことないように思えてきた。

「なんで自分だけが・・・」と思ってしまいがちだが、世の中には、自分より苦しんでいる人がたくさんいることを知るだけで、僕は少しだけ気持ちが楽になった。

どん底を味わい、そこから這い上がっていく小説は、いつ読んでも勇気づけられる。

  代償 (角川文庫)

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