こんにちは、hiroです。
今回は、米沢穗信さんの小説「満願」の感想を書きます。
この小説は、「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい!」の部門で第一位を獲得し、驚異の3冠を成し遂げました。
全6編の短編小説となっており、山本周五郎賞も受賞しました。
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「満願」のあらすじ
ざっくりとどんな物語があるかというと。
恋人との復縁を望む主人公が訪れた死人宿と呼ばれる場所で起こる不可解な出来事(死人宿)。
離婚によって旋律の決断を下した中学生姉妹(柘榴)。
サラリーマンが外国での恐怖体験に息をのむ(万灯)。
などのこの先どうなるのだろうと、わくわくさせる小説が6編収録されている。
柘榴がおもしろかった
僕がミステリーとしておもしろいなぁと思ったのは、「柘榴」と「万灯」です。
「柘榴」の読み方は「ざくろ」。
甘い果実のような中学生姉妹が、両親の離婚を機にとった行動に驚かされました。
中学生姉妹のしたたかな戦略は、親権が確実に母親に渡ると思われていたのを、見事に覆す結果となります。
最終的に親権はろくでなしの父親に渡るのですが、なぜ中学生姉妹が父親を選んだのかが、柘榴のような甘く、どこか官能なところが良いと思いました。
「万灯」は、ビジネスマンが仕事でバングラディッシュに訪れた際の出来事のお話です。
天然ガスの開発規模を大きくする際に、ある村に交渉に出かけます。
しかしその村は、どこか奇妙で危なげな雰囲気がありました。
ひとつ間違えれば殺されてしまうと言うところで、主人公のビジネスマンは逆に、村人を殺してしまうという結果になったところがおもしろいと思いました。
さらに結末のオチが素晴らしいと思いました。
これぞミステリー小説という感じの終わり方で、読後は爽快になりました。
短編小説として群を抜いている
上記にあげた2つの物語だけでなく、他の4編も読み応えのある短編でした。
僕の短編に対するイメージは、内容が薄く、ライトな感じだなぁとおもっていました。
しかし米澤穂信さんの小説「満願」は、一つ一つの内容が濃く、ミステリーもしっかりあり、最後までワクワクさせてくれました。
「短編でもおもしろい物語があるんだなぁ」と、僕の短編小説に対する考え方も変わることとなりました。
さすが「満願」は、各賞を総なめにしただけあると感じました。
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