【小説】月光(誉田哲也・著)を読んで,「報道のあり方」を考えさせられた。(ネタバレあり)

こんにちは。

「哲カフェ学びの達人」hiroです。

今回は,誉田哲也の小説,

「月光」を紹介します。

 月光 (中公文庫)

僕はこの小説を読んで,

マスメディアの「報道の自由」について,

深く考えさせられました。

あらすじ


主人公は,

女子高生の野々村結花(ゆか)。

結花には涼子という姉がいたが,

ある日,姉は事故死してしまう。

その事故を起こしたのは,

涼子の同級生の少年だった。

警察は事故死と断定して,

捜査は終了する。

しかし結花は,

姉の死が本当に事故だったのか,

納得できないでいた。

結花は真相を知るべく,

姉と同じ高校へ入学することに。

そこで次々と明らかとなる,

姉の死の真相。

あまりに残酷な真相を目の当たりにして,

心をえぐられる結花。

はたして,

姉の死の真相とは。

そして,真相の呪縛に悩まされる,

登場人物たちの末路とは。

(※以下,ネタバレを多少含みますのでご注意を)

報道のあり方を知る


どんな真相で,どんな結末になるのかは,

ぜひ小説を読んでいただきたいです。

僕はこの小説を読んで,

マスメディアの報道のあり方について,

深く考えさせられました。

姉の事故死の他に,

ある事件が起こります。

その事件の報道のあり方に,

結花が言及する場面があります。

その場面を読んで僕は,

実名報道の怖さを知りました。

ある事件とは,

涼子(姉)の死が関連しているもの。

なので,

その事件の真相が報道されてしまうと,

死んだ姉の尊厳が大きく傷ついてしまう。

それだけでなく,

涼子を失った両親など,

涼子と関わりがあった人たちまで,

苦しんでしまうことになる。

つまり,事件報道で,

洗いざらい真実が語られてしまうと,

直接関係のない人たちまで,

深く傷ついてしまう。

報道の見方が変わる


報道の自由とは何か。

少年法とは何か。

僕たちは日々の報道を,

どのように受けとめたら良いのか。

僕はこの小説を読んだことで,

報道の見方が変わりました。

少年法にしても,

実名報道するか否かで,

議論されることがあります。

犯罪をした少年に,

社会的な制裁を加えるための実名報道か。

それとも,

少年の人権を守るための匿名報道か。

そうしたら,

被害者の人権はどうなるんだ。

などといった議論を,

考える良い機会となりました。

この小説では,

実名報道されることによる,

2次被害が起こることを危惧しています。

しかも事件の当事者ではなく,

家族や知人に被害が及ぶことも考えられます。

2次被害の例①


例えば,

「オーデュボンの祈り(伊坂幸太郎・著)」

に出てくる話(ネタバレ注意)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

コンビニ強盗を起こした主人公を追う警察官が,主人公と付き合っていた女性のもとへ,聞き取り捜査にやってくる。

その警察官は,女性を見るなり,「こいつをめちゃくちゃにしてやりたい」と思った。

(※内容を僕なりに要約しました)

犯人の知り合いということがきっかけで,

事件とかかわりのない人までが,

被害に及ぶ可能性がある。

このあと,女性がどうなったかは,

ぜひ,「オーデュボンの祈り」を,

読んでいただきたい。

この例は,

報道とは関係ありません。

しかし,事件が起きたことによる,

2次被害が起こる可能性を示しています。

(小説ですが…)

2次被害の例②


以前,「加害者家族」

という本を読みました。

 加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)

この本には,加害者の家族が,

「事件後に嫌がらせや脅迫を受ける」

という苦悩が書かれていました。

今やネットで,

簡単に拡散してしまう時代。

そんな時代に,

僕たちはあらゆる報道と,

どう付き合っていけばよいのか。

犯罪者の制裁,

被害者の尊厳,

家族や知人の2次被害。

あらゆる面を考慮して,

報道を見るようにしたいです。

そうすることで,

普段見ている報道を,

多角的な視点で捉えられるかもしれません。

おわりに


誉田哲也さんの小説,

「月光」を読んで,

いろいろと考えさせられました。

特に,

「一つの視点だけで物事を見てはいけない」

ということを再確認しました。

報道だけでなく,

身の回りで起こるすべての出来事に対して,

僕たちはどう付き合っていくべきなのか。

これからも考えていきたいと思います。

月光 (中公文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)

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